<タックスニュース>

軽減税率の対応レジ補助金  増税後の設置も受給可能に

 経済産業省は8月28日、複数税率に対応したレジに換えるために必要な費用の一部を補助する「軽減税率対策補助金」の受給要件を緩和することを発表した。これまでは9月30日までにレジを設置して支払いを完了していることが条件だったが、今回の見直しにより、同日までに契約手続きが完了していれば補助金の対象となる。
 補助金の申請は原則として、対象となるレジやシステムを導入した後に、領収書などを添付した申請書を提出する方式となっている。申請書の提出期限は今年12月16日だが、システムの導入と支払いについては、増税前に完了している必要があった。新たな規定では、9月30日までに契約を締結していることが条件となり、実際の設置は増税後であっても受給できる仕組みに変更された。ただし、申請書の提出期限(12月16日)までには導入などの手続きを完了している必要がある。
 国が補助金の受給条件を緩和した背景には、複数税率に対する企業の準備が進んでいない実情がある。日本商工会議所が8月5日に発表した調査結果では、対応するレジへの改修について4割が着手していないことが判明した。他の調査でも、複数税率に未対応の企業が半数程度に上るというデータが相次いで公表されている。これまで準備を進めていなかった企業が増税の直前になってレジを購入する可能性があり、需要の急増で9月までに設置が間に合わないおそれもあるため、補助金の要件が緩和されることとなった。
 軽減税率対策補助金の補助率は、導入する設備によって異なる。複数税率に対応したレジの導入・改修については3通りに分かれ、タブレットなどの汎用端末であれば2分の1、1台だけの導入でかつ費用が3万円未満であれば5分の4、それ以外はかかったコストの4分の3となっている。上限額はレジ1台当たり20万円。ただし、新たに商品マスタの設定や機器設置運搬などに費用がかかるのであれば、さらに1台あたり20万円が上乗せされる。また受発注システムの改修・入れ替えでは原則としてコストの4分の3、請求書管理システムの導入については費用の4分の3が補助対象となる。
 なお、複数税率の導入が間近となっても対策を講じていない企業が多いことを受け、複数税率に関する電話相談窓口(消費税軽減税率電話相談センター)についても国は対応を見直している。これまでは平日しか相談を受け付けていなかったが、増税前後の9月と10月に限り、土曜日も相談を受け付けるという。

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<タックスワンポイント>

改正された自筆遺言の新ルール  フリーハンドではないので注意事項は継続

 2018年の民法改正で相続に関連する規定が約40年ぶりに見直され、遺言者が全文にわたり自筆で残す自筆証書遺言の要件が緩和されている。この改正により19年1月13日以後に作成する自筆証書遺言に添付する財産目録について、自署ではなくパソコンで作成することや、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書などを目録として添付すること、また他者に書いてもらうことも可能になった。もちろん、偽造防止の観点から、財産目録の各ページへの自署・押印は必要だ。
 また、法務局での遺言書の保管に関する法律が創設され、遺言者は自分の住所地や本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する法務局(支局・出張所など)に対しても自筆証書遺言の保管を申請できるようになる。
 これらの改正によって、財産が多い人にとって大変な手間であった手書き作業が軽減されたほか、遺言を紛失したときの心配も減り、一般に利用者のためになる改正と評価は高いようだ。
 ただ気を抜かずにいたいのは、要件が緩和されたからといって、決して「自由」になったわけではないということだ。法律にのっとった書き方や変更方法の要件を満たしていないことで遺言書が無効となることは珍しくなかったが、今後は「要件緩和」のイメージが先行してミスを誘発するおそれもある。自筆であっても可能な限り専門家のアドバイスは求めたい。
 なお、あらためて公正証書遺言のメリットとデメリットのおさらいもしておくと、公正証書遺言は、公証人が作成する公文書であるため費用はかかるものの、一般的に失敗のおそれはない。遺言書無効などの万が一の事態を避ける保険とすれば、安心を金で買うことも有効な選択肢だろう。ちなみに公正証書遺言の作成費用は、財産3億円から10億円以下なら10万円程度となっている。基本的に公証役場で作業をすることになるが、病気や高齢で出掛けられないときは出張サービスもある。公証役場へ直接行くのであれば日本中どこの公証役場でも遺言作成は可能だ。

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