<タックスニュース>

「融資円滑化」に向け施策続々

 金融庁は貸し渋り・貸しはがし防止徹底に向けて、金融機関の融資態度を調べる集中検査を4月~6月に行うと発表した。メガバンクを含む大手行や借り手からの苦情の多い地銀などが対象。具体的には、企業の期末越えの資金繰りや住宅ローンなど個人向けの融資に適切に応じているかを厳しくチェック、貸し渋りや貸しはがしにつながる融資・審査体制の不備が認められれば、業務改善命令など行政処分も辞さない方針だ。
 同時に、世界的な金融危機で社債発行が困難になるなど市場での資金調達環境が厳しさを増していることを踏まえ、大企業・中堅企業向け融資の一層の円滑化も要請。具体的には、大手行や地銀、ゆうちょ銀行などにシンジケートローン(協調融資)を積極活用し、社債償還などの大口融資にも積極的に対応するように促す。
 また、信用保証協会の保証付き融資は「貸し倒れリスクゼロ」と扱い銀行の自己資本比率の制約要因としない特例措置を導入。さらに、融資先企業の財務状況が一時的に悪化しても検査で直接的には問題債権と見なさない方針を示すなど政策総動員で貸し渋り解消を狙っている。
 与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は、「年度末や新年度入りを前に中小企業だけでなく、中堅・大企業の資金繰りも厳しさを増している。金融庁の集中検査など新たな措置は当局の権限で銀行を指導する趣旨ではなく、官民あげて金融・経済危機に対応して行こうとのお願いだ」と説明している。

<タックスワンポイント>

胃がん予防費用??ピロリ菌除去に控除は?

 医師らで組織する日本ヘリコバクター学会はこのほど、胃に生息するピロリ菌の除去を行うことで、胃がんの発症率を3分の1以下に抑えることができるとし、ピロリ菌に感染したすべての人にその除去を勧める内容の指針を公表した。
 胃がん予防に有効な「ピロリ菌除去」だが、費用は2万円~4万円。公的医療保険の対象となるのは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者が治療として行うケースに限られる。
 そうなると、医療費控除の対象になるのかが気になるところだ。結論からいえば、ピロリ菌除去費用について医療費控除の適用はない。医療費控除の対象となるのは、「治療に直接必要な費用」であって、胃がんの予防を目的として行われるピロリ菌除去費用は、病気の治療に直接必要な医療行為ではないと考えられるためだ。
 もっとも、同学会は、ピロリ菌に感染すること自体が「ヘリコバクター・ピロリ感染症」という病気である、との指針を公表している。そのため、当局では「税務上も将来的に認められた場合は医療費控除の対象となるだろう」としている。

税理士法人早川・平会計