<タックスニュース>

たばこ・酒税改革を見送り ホンネは「余裕なし」

 民主党が昨年12月に策定した税制抜本改革アクションプログラムに盛り込んだたばこ税と酒税の税率の抜本的な見直しが、今年度は見送られる方針となった。
 民主党が主張する両税の改革方針は、これまでの財源確保策としての税の性格を改め、国民の健康増進を目的とする税に模様替えすること。たばこ税は喫煙率を引き下げる価格政策の側面を強め、大幅に増税する一方、酒税はアルコール度数に応じた税率体系に改める。アルコール1度当たりの税率が最も高いビールでワインの6倍、清酒の5・5倍に達する不均衡をならすとしている。
 ただ酒税については古本伸一郎財務政務官が10月23日、「将来の間接税の全体の見直しのなかで議論するテーマ」と発言。たばこ税についても峰崎直樹副財務相が同27日、「財源頼みのたばこ増税はしない。時間をかけて議論する」と述べ、来年度以降に議論を先送りする方針が示された。
 こうした姿勢について財務省幹部は、「今年末の税制改正での最大のテーマは、道路関係の暫定税率の廃止と、その代替で減税分の一部を穴埋めする環境税を導入できるかどうか。業界利害などが絡む酒税、たばこ税まで手を付ける余裕はない」とこぼした。

<タックスワンポイント>

法人税課税事績 黒字申告割合が初の30%割れ

 法人の黒字申告割合が過去最低の29・1%だったことが、国税庁がまとめた平成20事務年度の法人税課税事績により明らかとなった。昨年末にアメリカで発生した大不況の影響を数字で示す格好だ。法人税額、源泉所得税額が大きく落ち込んだだけでなく、その下落幅も過去最大を記録。鳩山内閣が躍起になっている「財源確保」に大きく影響しそうだ。
 発表によると、平成20事務年度(同20年4月~同21年3月)の黒字申告件数は280万5千件。黒字申告割合は29・1%、前年度比は3・3%減で過去最低を記録した。法人の黒字申告割合が30%を下回ったのは、昭和42事務年度の調査開始以来、初めてのこと。内訳をみると、資本金1億円以上の大企業の黒字申告割合は前年度比7・3%減の46・6%で、資本金1億円未満の中小企業の黒字申告割合は前年度比3・2%減の28・9%となった。
 申告所得金額は37兆9874億円で、前年度より20兆8370円減少(前年度比35・4 % 減)、申告税額は9兆7077億円で前年度から4兆8244億円減少(同33・2%減)となった。申告所得金額、申告税額ともに、前年度からの下落幅は過去最悪を記録している。

税理士法人早川・平会計