Vol.0058号
<タックスニュース>
避けて通れぬ消費税 ”焦れる”仙谷に菅”および腰”
新たに財務相に就任した菅直人副総理と、菅氏の後を継ぎ国家戦略担当相を兼務することになった仙谷由人行政刷新相との間で、消費税率引き上げをめぐる意見対立が表面化している。「増税の話が出ると歳出抑制の取り組みが鈍る」と早期の議論着手に難色を示す菅氏に対し、仙谷氏は増大を続ける社会保障費を念頭に「すぐに議論を始めるべきだ」と詰め寄る構図だ。
休日だった1月10日にもこの対立劇が繰り広げられた。「少子高齢化が進む中で、社会保障を維持するにはどういうシステムが必要なのか。そうした観点からも、消費税の議論は避けられない」。徳島・徳島市で講演した仙谷氏はこう強調し、「夏の参院選前でも、議論は常時すべきだ」と訴えた。
だが、菅氏はこの日の朝にテレビ番組で「議論することがダメだとは言っていない。ただ、しっかり無駄な経費の組み替えをやらないまま次の増税を考えると、必ず無駄なものが残ってしまう」と反論。「この1年は徹底的な財政の見直しをやる。そのうえで消費税、環境税など必要な議論はやっていく」と述べ、消費税論議を2011年度以降に先送りする考えを示した。
財務相として厳しい国の財政事情に直面する菅氏が、「正攻法」とも言える増税の議論に及び腰になる背景には、副総理という立場上、与党との関係を考慮し、今夏の参院選前に増税論議が盛り上がるのを避けたい苦しい事情がある。政府税制調査会の会長、会長代行を務める2人の対立に、選挙への思惑も絡み、今後の税制改正論議は波乱含みだ。
<タックスワンポイント>
「海外勤務」の法定調書どうなる???提出は2月1日まで
今年の法定調書の提出期限は2月1日。例年ならば1月31日が提出期限だが、月末が日曜日に当たるため、提出期限が週明けにずれ込んだ。提出が義務付けられている法定調書は、給与所得の源泉徴収票および給与支払報告書、一定額以上の報酬・原稿料の支払いに関する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」、役員の退職手当を支払っている場合は「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」など。
海外へ転勤した社員については、1年以上の予定で海外に転勤した場合、転勤した時点で非居住者となり日本の所得税が課税されない。そのため、転勤後に支払われる給与に関して、企業は源泉徴収を行う必要がなく、源泉徴収票の作成も不要。国内勤務時の源泉徴収票のみを作成し、給与などの支払総額が500万円を超えた場合は提出の対象となる。
ただし、海外転勤した後に賞与を支払った場合、賞与金額の計算期間に日本で勤務した期間が含まれていれば、日本での勤務期間に対応する部分については源泉徴収義務が発生するため、源泉徴収票の作成・提出が必要となる。
一方、役員ならば、原則として日本の所得税が課税されるため、海外転勤後の給与についても源泉徴収義務が発生し、源泉徴収票の作成・提出が必要。ただし、支店長など「使用人」の立場で勤務している場合は源泉徴収義務がなく、提出は不要だ。