<タックスニュース>

消費税論議に閣僚ピリピリ  見えないスタートライン

 菅直人副総理兼財務相が、3月にも消費税率引き上げを含む税制改革の議論に着手する。菅財務相は1月の衆院予算委員会で消費税の導入時期について「逆立ちしても鼻血も出ないほど、完全に無駄をなくしたとき」と答えた。
 2月上旬の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、国債発行残高の多さを「金メダル級」と紹介すると、同15日の衆院予算委員会で「無駄排除は行政刷新担当にがんばってもらい、同時に税調としての議論は議論として進める」などと発言し、増税論議の解禁にかじを切った。これまでは「消費税の話は、大臣の意向もありオフレコで」と警戒する財務省関係者もいた。一連の発言が、より活発な税制改革論議を進めるきっかけになる。
 だが参院選を控え、閣僚間で警戒感は根強い。原口一博総務相は「増税ありきの議論には立たない」と強調。福島瑞穂少子化担当相も「税率引き上げにはずっと反対」と社民党党首としての立場を強調。亀井静香金融担当相も「消費税だけを取り出して議論をするほど暇ではない」などと一蹴した。近く始まる政府税調の専門家委員会も、所得再配分機能を持つ所得税改革に関心を示しており、本格的な議論は先になりそうだ。

<タックスワンポイント>

経営セーフティ共済が拡大  節税効果もビッグ

 平成22年度税制改正で延長・拡大が決まった中小企業基盤整備機構の共済制度「中小企業倒産防止共済」(経営セーフティ共済)を活用した節税術があらためてクローズアップされそうだ。これは、取引先の予期せぬ倒産から中小企業の連鎖倒産を守ることを目的とした共済制度で、掛け金について法人であれば損金、個人であれば必要経費として処理することが認められている。
 同共済は解約が自由にでき、解約手当金が受け取れる。その金額は、納付12カ月以上なら80%、40カ月以上なら100%戻る。法人なら、その解約手当金について、支給を受けた時点の益金、個人は事業所得として処理する必要があるわけだが、事業が赤字のときに解約すれば、税負担を軽減できるメリットがある。
 現在の貸付限度額が3200万円だが、平成22年度税制改正により限度額は8千万円まで、掛け金は月額最大20万円まで拡大される。たとえば、毎月20万円で40カ月、800万円積み立てたとしたら、100%の金額が支給されるため、最大で800万円の所得が圧縮できることになる。
 ただし、重複契約はできない。また、法人税を滞納している企業や住所または主たる事業の内容を繰り返し変更したために継続的な取引状況を把握することが困難な企業・個人、すでに貸し付けを受けた共済金や一時貸付金の返済を怠っている??といった理由がある場合は同共済に加入できない。

税理士法人早川・平会計