Vol.0064号
<タックスニュース>
日本に根付くか「寄付の文化」??税優遇ですそ野を拡大
政府税制調査会では年明け以降、特定非営利活動(NPO)に対する寄付拡大を目指す税制改正論議が続いている。寄付額はアメリカの20・4兆円(2008年)、イギリスの1・5兆円(同)に比べ、日本は0・26兆円(2004年)と圧倒的に少ない。
背景には文化と税制の違いがある。現行では寄付金から5千円を引いた額が課税所得から控除されるが、高所得者で所得税率が高い人ほど還付金が多い。低所得者にも寄付のメリットを与え、寄付者のすその拡大が課題になっている。
また、全国約3万9千あるNPO法人のうち、税優遇を認める認定NPO法人の数は、1%未満の116しかない。認定申請の手間が獲得できる寄付金額に見合わず、更新をせずに認定から外れるNPOも多い。寄付額が増えず、寄付先も増えない悪循環を断つためには、抜本的な制度改革が必要だ。
税務当局側も寄付税制拡充には異論はないが、「血税で運営を支える団体が、寄付税制を悪用する事態は避けたい」と慎重な議論を望んでいる。「秋の税制改正に向けた論点整理で終わる可能性もある」(財務省幹部)との声もある中、期限となる4月まで、具体的な結論が示されるかが注目される。
<タックスワンポイント>
事業承継税制の確認手続き忘れずに! 事前省略は3月いっぱいで終了??
平成21年度の税制改正において鳴り物入りで導入された事業承継税制だが、税理士からは「要件が厳し過ぎて使うに使えない」との指摘も多い。相続が起こる前に「経済産業大臣の確認」を取らなければいけないというのもそんな要件のひとつだが、現在は制度施行直後ということで確認手続きを必要としない経過措置期間中だ。しかし、その期間も同22年3月31日で終了と、もう目前に迫っている。
先代の経営者が60歳未満で死亡した場合など一定の場合については確認を必要としないケースもあるが、原則として相続前に確認を受けていないと認定が受けられず、納税猶予制度を利用することができなくなってしまうので気を付けたいところだ。
ちなみに同22年1月31日時点での申請件数は、認定件数は124件、確認件数は311件。同22年度税制改正においても一部見直しが行われる予定だが、「厳し過ぎる」という声が多い「80%の雇用維持」などに関しては特段の変更予定はない。利用を考えている人は高いハードルをクリアできるかどうかじっくり考えつつ、確認を受ける準備は早めに行ったほうがよさそうだ。