Vol.0106号
<タックスニュース>
菅首相は消費税”慎重派”!? 年頭記者会見のウラ事情・・・
菅直人首相は年頭の記者会見で「必要な財源、消費税を含む税制改革を議論せねばならない。財源問題を含めた超党派の議論を始めたい」と述べた。菅首相は昨年末、消費税増税の方向性を年頭会見で示す意向を明らかにしていたが、結局これまでの発言の域を超えることはなかった。
菅首相と消費税といえば、昨年の参院選公示直前の「10%発言」が必ず引き合いに出される。首相が具体的な消費税率に言及する異例の発言で、参院選は消費税一色となって、民主党の大敗を招いた。菅首相は発言を事前にごく一部の党幹部にしか根回ししておらず、財務省が背後で動いた形跡もない。むしろ、低所得者対策で批判をかわそうとした際に、救済対象とする所得層が同じ日の演説でも場所によって変わり、財務省幹部が「うちが振り付けしていれば、あんなひどいことにはならなかった」と肩を落としたほどだ。
今回、菅首相に対しては、「予告するようになっただけでも進歩だ。それまでに説得できる」と、首相への進言をにおわせる民主党関係者がいる。ある財務省関係者は「番号制度の基本方針と取り違えているのではないか」と菅首相の勘違いで済ませようとした。実際、年頭会見で踏み込んだ発言は全くなく、今回は菅首相の前のめりを抑えることに成功したようだ。
<タックスワンポイント>
含み損抱えたゴルフ会員権 一時所得から損益通算
昨年後半からゴルフ会員権の取引相場が下がっているという。含み損を抱えたゴルフ会員権の売買に伴う税務については、譲渡所得金額の計算に注意が必要だ。現在、ゴルフ会員権の譲渡所得は総合課税の対象。譲渡収入金額から取得費や譲渡費用などを控除して損失が出た場合、給与など他の所得と損益通算できる。
取得費や譲渡費用など必要経費の計算だが、取得費には、ゴルフクラブに入会するために支出した「入会金」や「預託金」、第三者から購入した場合の「購入価額」や「名義書換料」となる。贈与により取得した場合でも、名義書換料を取得費として含めることができる。
譲渡費用については、ゴルフ会員権業者に支払う手数料が該当する。「年会費」はゴルフ会員権の保有に伴う維持管理費用なので、取得費、譲渡費用のいずれにも該当しない。ミスが最も多いのが損益通算だ。給与収入が多い人はつい源泉税の還付を期待してしまうが、ゴルフ会員権の譲渡損は必ずしも源泉税還付に直結するわけではない。損益通算の順序が決まっているためだ。
ゴルフ会員権の譲渡損失が出ても、一時所得がある場合には、まずは一時所得と損益通算する。一時所得との通算は50万円の特別控除後で、2分の1にする前の金額。譲渡したゴルフ会員権が複数の場合や短期譲渡所得と長期譲渡所得の両方がある場合でも、特別控除の金額はトータルで50万円。さらに、特別控除前の金額が50万円以下の場合は、特別控除前の金額が特別控除の金額になり、特別控除によってマイナスになることはないので注意が必要だ。
ちなみに、ゴルフ会員権で譲渡所得の対象となるのは、プレー権が存在している場合。ゴルフ場が倒産してプレー権が消滅した会員権は損益通算の対象外だが、微妙なラインもあるので覚えておきたい。