<タックスニュース>

“税優遇”特区を創設  設備投資50%償却の効果は?

 平成23年度税制改正大綱には、政府が新成長戦略の柱として今夏にも創設予定の「総合特区」で、成長分野の事業に取り組む企業への税制優遇策を盛り込んだ。総合特区制度は、地元の自治体や民間が描いた計画に、国が規制緩和や税制優遇などで支援して、成長分野の産業を育成させて日本全体の成長をリードさせるのが狙い。
 総合特区は国際戦略総合特区と地域活性化総合特区の2本立てで、税制優遇措置が手厚いのは国際戦略総合特区。税制優遇策の対象となるのは、国から認定を受けた地方自治体から指定を受けた法人で、①設備投資額の25~50%の特別償却②設備投資額の8~15%の税額控除③5年間の所得控除20%―のいずれかを選択できる。国税の優遇策が地方税にも反映する措置も講じる方針だ。
 一見、思い切った政策に見えるが、国際戦略総合特区は全国で5カ所程度しか指定されない見通しで、地方自治体が国に提出する計画書で税制優遇の対象を過度に広げていると「本気度を疑われる」(担当事務局)として、落選する可能性が高くなるという。そもそも財務省が見込んでいる減税額は、年間70億円程度で、法人実効税率5%引き下げによる1・2兆円に比べると微々たる額。うまく政治に花を持たせた格好だ。

<タックスワンポイント>

法定調書 提出期限が目前に  光ディスクで提出も可能

 1月31日の、法定調書の提出期限が目前に迫っている。法定調書は、税務署に提出が義務付けられている書類のこと。その目的は「適正な課税の確保を図るため」であり、税務署が調査を行う際の資料として使われている。
 その主なものとしては、「給与の源泉徴収票・特別徴収票」や、一定額以上の講演料や税理士報酬などが該当する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などがある。また、役員の退職手当を支払ったような場合には「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」の提出が必要。ただし、死亡退職に際して退職手当などを支給したのであれば、「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになっている。
 法定調書の提出は、支店や工場が多く法定調書を複数の税務署に提出している場合は、CD-RやDVD-Rなどの光ディスク、MOなどの光磁気ディスクを使って本店を管轄する税務署に一括提出も可能。
 そのためには、まず「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書」を作成し、本店管轄の税務署に提出しなければならない。その後、税務署長からの承認の通知が来れば、光ディスクなどでの提出が可能となる。
 実際に光ディスクなどで提出する際には、法定調書の種類ごとに、対象支店などの名称、所在地、管轄税務署および提出見込み件数などを適宜記載した書面を沿えて提出する。
 なお、平成26年1月1日以降は、提出すべき支払調書などの提出枚数が千枚以上であるときは、光ディスクなど、またはe-Taxによる提出が義務化される見通しだ。

税理士法人早川・平会計