<タックスニュース>

「休眠預金」を福祉・教育分野へ  金融庁が資金供給策を検討

 金融庁は、長期間使われていない預金口座の残高「休眠預金」の取り扱いについて海外事例の調査を始めた。日本では金融機関が利益に繰り入れているが、アイルランドなどでは福祉や教育分野に活用されている例もある。金融庁は海外事例を参考に、民主党がマニフェストで掲げる「新しい公共」分野への活用が可能かどうか検討を進める。
 全国銀行協会の規定では、預け入れや引き出しが10年間行われなかった預金口座の残金は、預金者の住所地に通知しても預金者が確認できなかった場合、その金融機関の利益に繰り入れられる。金融機関が利益に計上する休眠預金はメガバンク3行だけで年間約300億円。利益に計上した後も、預金者から請求があれば払い戻されるが、払い戻しは全体の4割にとどまっており、6割は事実上金融機関の利益となっている。
 一方、欧米では、休眠預金は国や特定機関が一元的に管理するのが一般的で、預金者は複数の金融機関にある休眠預金を一括して照会することができる。福祉や教育分野で活動する民間団体などに資金提供する制度が相次いで創設された。
 菅直人首相は1月、通常国会で「休眠口座を活用できる道がないか内閣としても検討したい」と答弁。これを受け、金融庁は3月に再開する金融審議会で休眠預金の取り扱いについて検討する方向で調整中だ。日本は家計の預貯金額が多く、休眠預金総額もイギリスの10倍以上あり、一元管理には課題は多いが、早ければ今年中に新制度の概要が固まる可能性がある。

<タックスワンポイント>

もはや国民病!?  「花粉症」対策に1億7千万円

 スギ花粉の生産量は前年夏の天候と密接な関係があるらしい。日射量が多く、降水量が少ないほど春の花粉飛散量は多くなるそうだ。猛暑だった昨年の夏の影響で、今春は大量のスギ花粉が飛散するとの予測が出た。地球温暖化の影響で花粉症が年々悪化するとの調査も出ている中、国も積極的に対策へ乗り出している。
 林野庁では平成19年に「花粉発生源対策プロジェクトチーム」を設置し「スギ花粉発生源対策推進方針」に関する対策を進行中だ。内容として、①花粉症対策品種の開発・普及、②花粉の少ない森林への転換などの推進、③スギ花粉発生源対策に係る調査などの実施、④普及啓発活動の推進を主に掲げている。①の花粉症対策品種とは少花粉・無花粉スギのことだ。少花粉スギは花粉生産量が普通の品種の1%以下で、無花粉スギは雄花の中に全く花粉のない品種となっている。
 これらの原種を各都道府県に配布。採種園や採穂園での造成・改良を経て作り出したさし穂や種子から植林用の苗木を生産し、森林所有者によって植林される。このプロジェクトのため、林野庁では平成22 年度、1億7千万円の予算を投入している。

税理士法人早川・平会計