Vol.0198
<タックスニュース>
財務省 緊急対策の拡充で円高抑制へ 国内企業に低利でドル資金融資
財務省は、円高対策として昨年夏に創設した「円高対応緊急対策」を拡充する方針だ。国内企業による海外企業の買収・合併(M&A)や資源獲得を促すことで、円高を抑制するのが目的。「筋のいい円高対策」として、政治サイドからの拡充要望も多く、財務省も悩ましさを抱える。
緊急対策は、外国為替資金特別会計(外為特会)にたまった外貨準備であるドル資金を、政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)を通じて、低金利で国内企業に貸し出す枠組み。低利のドル資金融資をきっかけに、海外投資を決断すれば、企業は手持ちの円資金もドル資金に変えることになるため、円売り・ドル買いが行われて円高抑制効果を期待できる。
同じ円高対策でも、為替介入や日銀による金融緩和に比べ、米欧諸国からの反発が少ないスマートな政策だが、原資となる外貨準備は、もともと財務省国際局の「虎の子」。かつては秘密のベールに包まれ、約100兆円の残高がありながら、現在も使い道の詳細は明らかにされていない。そうした経緯が、政治家の関心を引き寄せているようだ。
今回の拡充の柱は、これまで「民業圧迫につながる」として排除されていた日本政策投資銀行(DBJ)の利用を可能にしたこと。DBJは地域の中堅・中小企業との取引が多く、利用が大企業に偏っている緊急対策の間口を広げるのが狙いだが、DBJ活用はもともと政治サイドからの要望。同じ政府系でも、国際局は庭先であるJBICとの関係を考え、財務・経済産業・国土交通系のDBJ活用に慎重だったが、景気対策の名の下、結局は押し切られた格好だ。
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<タックスワンポイント>
人材投資で税額控除 1人増えれば20万円
多くの会社で人件費削減が命題となっている昨今だが、そんな中でも頑張って人材投資した会社にはご褒美をあげようという国の施策があるのをご存知だろうか。その名も「雇用促進税制」。
雇用者の数が前期より上回っている場合に税額控除を認めるというもので、当期末の雇用者数が前期末の雇用者数に比べて5人以上(中小企業は2人以上)、かつ、10%以上増加している場合に、「基準雇用者数×20万円」の税額控除が受けられる。ここでいう「基準雇用者数」とは、当期末の雇用者数から前期末の雇用者数を引いた数。税額控除額が法人税額の10%(中小企業は20%)相当額を超える場合には、その相当額が限度となる。
納税額をダイレクトに減らせる税額控除とあってオイシイ制度であるが、適用要件はそれなりに厳しい。
前述の基準雇用者数や基準雇用者割合のほか、前期および当期に事業主都合による離職者がいないこと、給与等の支給額が比較給与等支給額(前期の給与等の支給額+(前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%))以上であること、などを全てクリアしている必要がある。
また適用に際しては、公共職業安定所に雇用促進計画を提出して要件をクリアしている事についての確認を受け、その際に交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写しを確定申告書に添付すること。
なお、雇用促進税制の適用を受けるには、適用年度ごとに、その都度、適用要件を満たしている必要があり、雇用促進計画も適用年度ごとに提出する必要がある。このため、適用要件を一度でも満たせばその後も継続して同税制の適用を受けられるというわけではないので注意したい。
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