<タックスニュース>

麻生財務相過熱する市場にけん制?  「物価目標2%」2年達成は困難

 黒田東彦氏が日銀総裁に就任した。「黒田日銀」は、物価目標2%を2年程度で達成することを目指し、強力に金融緩和を進めていく考えだ。黒田総裁は2年での達成に自信をのぞかせるが、政府内では「困難」との見方が大勢。ここまでの円安・株高は、期待先行だっただけに、黒田日銀の最初の一手が注目されている。
 「今の状況はデフレからインフレに切り替えて(いく局面)。2%に行かせるというのは、かなりな時間がかかると思う」と話すのは、麻生太郎財務相。70年代には石油危機に伴い物価が急上昇した時期があったものの、15年も続くデフレ不況から抜け出すのは容易ではなく、2年間での達成は困難との認識を示した。さらに、麻生財務相は「何も焦っていただく必要は何もない」「奇をてらう必要は全くない」とも述べ、就任早々とあって前のめりになりがちな黒田日銀に呼びかけた。
 金融緩和に「積極的でない」とみられていた白川日銀時代は、「次元の違う緩和」を求める首相官邸との間に立つ麻生財務相や財務省が、水面下で白川日銀の尻を叩く役回りだった。ところが、財務省OBではあるものの、強力な積極緩和論者である黒田総裁の就任後は、財務省と日銀は攻守交替の様相。財務省内からは「副作用もある金融緩和のブレーキ役がいなくなった」との声も漏れる。
 2年間での達成は難しいとの見方が多いものの、政府内でも「デフレ不況にはまりこんでしまった日本経済を浮上させるには、強力な金融緩和という劇薬が必要」との見解が広がっているのは事実。当面は、黒田総裁の采配を見守ろうというスタンスだ。麻生財務相の発言も、黒田日銀の最初の一手をサプライズにつなげるため、高まりすぎた市場の期待感をいったん下げようという狙いが込められているかもしれない。

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<タックスワンポイント>

単身赴任者の帰宅費  職務絡めれば非課税

 会議に絡めて帰宅―。仕事の都合で家族と離れて生活する単身赴任者にとって、仕事に絡めて家に帰れるのは嬉しい話。旅費も会社持ちとなるため懐にも優しい。
 通常、単身赴任者が、会議など職務遂行上の理由で旅行を行った場合に会社が支給する旅費・交通費は、通常必要と認められる範囲の金額であれば給与として課税されることはない。
 出張旅費に「帰宅」という個人的な用事を絡めるとなると、旅費・交通費が給与扱いとなり、所得税が課税されるのではないかと心配する向きもあるが、これについては国税庁が「会議などに併せて帰宅した場合に支払われる旅費については、基本的には給与課税されない」ことを明らかにしている。
 ただし、この取り扱いは、あくまで職務出張に付随するものであることが条件。そのため「その期間や帰宅する地域等には、おのずから制約がある」(国税庁)。
 例えば、5泊6日の旅行の場合(日程のうち初日と最終日は移動日として考える)、2日間出社し職務に従事していれば、2日間を帰宅に充てていたとしても、その出張旅費は非課税。また、4泊5日の旅行で週末を挟んだ場合については、土日の2日間を帰宅に充て、出社日が1日しかなかったとしても、非課税として差し支えない。
 全国各地に支社や支店、工場などを持っているのは大企業だけとは限らない。最近では小規模企業でも外国に支社や工場を持つ時代。おのずと単身赴任者は増加しており、単身赴任者を抱える会社では、月々の給料以外に単身赴任手当や交通費の負担も発生している。帰宅費用の取り扱いもそのひとつ。十分な注意が必要だ。

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