Vol.0240
<タックスニュース>
軽減税率の議論再開 12月末に制度設計を決定へ
自民、公明両党は10月30日、与党税制協議会軽減税率制度調査委員会(座長・野田毅自民党税制調査会長)を約4カ月ぶり再開した。消費増税時に生活必需品の税率を低く抑える低所得者対策である軽減税率は、13年度税制改正大綱で「消費税率10%引き上げ時に、軽減税率制度を導入することをめざす」として、年内に結論を出すことになっている。30日の委員会では日本新聞協会と、全国知事会など地方団体から意見を聞いた。ヒアリングは今回で終了し、11月中に中間報告をまとめる方針だ。
日本新聞協会は白石興二郎会長(読売新聞グループ本社社長)らが出席。「消費税を10%に引き上げる際には他の生活必需品と同様、新聞に5%の軽減税率を導入してもらいたい。新聞は民主主義社会を支え、文化を維持発展させるための公共財だ」と必要性を強調した。
また、地方紙の廃刊や休刊が起きている米国では、その地域で市民の政治参加の意識が下がり、投票率が下がっているという実例をあげて、新聞の重要性を説明した。日本新聞協会としては、新聞以外に書籍、雑誌、電子媒体にも軽減税率適用を要望した。
全国知事会からは石井隆一富山県知事が出席。ヒアリング後、記者団に「消費税は公平な税制だが、給付付き税額控除や軽減税率など、低所得者への配慮を考えないといけない」と述べた。
軽減税率導入を巡っては、税収減を理由に自民党は導入に慎重な姿勢を示している一方、公明党は前向きな立場だ。副座長の斉藤鉄夫公明党税制調査会会長は「12月末には対象品目、税率について結論を出すことになっている。乗り越えるべき課題は決して乗り越えられないものではない」と、年末に軽減税率の具体的な制度設計を決定する必要性を述べた。
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<タックスワンポイント>
ベースアップを後押し 所得拡大税制スタート
景気回復で業績がアップし、頑張ってくれたスタッフの給料アップを検討する会社も増えてきた。しかし人件費の負担増は、景気回復傾向にあるといえども身を切る思いであることには変わりない。人件費に関する税制上の優遇措置としては、一定以上の雇用に対して税額控除を認める雇用促進税制があるが、これは新たに人を雇い入れることが要件。人員増加まではできないという会社には使い勝手の悪い制度であったが、平成25年度税制改正では、そんな会社を救い上げる新たな制度が登場した。
その名も所得拡大促進税制。個人所得拡大のテコ入れ策として練り上げられたアベノミクス税制のひとつで、国内雇用者に対する給与等の支給額を一定以上増加させた場合、その増加額の10%を税額控除できる。平成25年4月から3年間の時限措置だ。適用要件は、①基準年度と比較して5%以上給与等支給額が増加、②給与等支給額が前事業年度を下回らないこと、③平均給与等支給額が前事業年度を下回らないこと―のすべてを満たしていること。法人税額の10%(中小企業は20%)が上限。「基準年度」とは、同25年4月1日以後最初に開始する事業年度の直前の事業年度を指す。同制度における「給与」には、社員への給料はもちろん、パートやアルバイトなどへの支払いもすべて含まれるが、役員については対
象外となるので注意が必要。ここでいう「役員」には、実質的に役員と同一の者、例えば役員の親族や、事実婚状態にある者、役員から生計の支援を受けている者も含まれる。また、使用人兼務役員については、使用人の部分も含めて対象外とされているので注意が必要だ。
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