<タックスニュース>

マイナンバー  預金口座や不動産にも番号付与

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は、国民一人一人に番号を割り当てるマイナンバー制度の活用を議論する初のグループ会合を開いた。委員からは、公平な社会保障給付や徴税の観点から、預金口座や不動産も番号を割り振る対象にするべきとの提言が出され、出席者からは賛成する意見が相次いだ。
 マイナンバーは、社会保障や納税などに関する情報を一元管理するために、すべての国民に割り振られる個人番号。今年5月にマイナンバー法が国会で成立した。政府は2015年秋頃に全国民に対し個人番号を記載した「通知カード」を郵送し、16年1月から番号の利用がスタートする予定。政府は番号制度導入で、所得や年金、医療保険の受給状況などの情報を共有しやすくするのが目的と説明する。
 政府税調の会合では一橋大大学院教授の井伊雅子委員から、現行のマイナンバー制度では預貯金などの金融資産や不動産などの固定資産を把握することができないことから、預金口座と固定資産に番号を付けるべきという提案が出された。多額の資産を保有していても、所得が低ければ低所得者とみなされ、社会保険料が軽減されるケースを想定してのことだ。井伊委員は「複数の自治体に分散する固定資産は本人しか把握していない。金融資産や固定資産を含めて、社会保障分野での公平な負担を実現するべき」と述べた。
 出席した委員からも、賛成する意見が多く出されたが、既存の膨大な数の預貯金口座に番号を振ることのコスト面での難しさや、相続された土地などで実際の登記手続きがきちんと行われていないケースも想定される。グループ会合の座長である神野直彦東大名誉教授は「簡単な話ではない。さまざまな課題がある」と慎重に議論を進める考えを示した。

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<タックスワンポイント>

謝礼金制度を導入  「交際費」避けるには

 競合他社との生存競争で生き延びるには「身を切る営業手法」も時には必要。そこで顧客の新規開拓にあたり、紹介者に対して謝礼を支払う制度を導入するケースも多いようだ。
 そんなに儲かっているわけではない会社にとってはある意味「賭け」に等しい企画だが、このような謝礼金制度の導入に際しては、税務上の取り扱いにも注意が必要。謝礼金というと、「交際費」になると考えがちだが、必ずしもそうとは限らないからだ。
 例えば、情報提供サービスの業者から顧客を紹介され、謝礼金を支払ったケース。この場合、顧客情報を提供することを生業としている者に対する金銭の支払いということで、原則として「役務提供の対価」に該当することになり、交際費扱いにはならない。
 それでは、こうした業者以外の者から顧客を紹介された場合の謝礼金はすべて交際費に該当するのかというと、決してそうとも限らない。一定の要件をクリアすれば、「情報提供料」などとして損金算入が可能になるのだ。
 ここでいう一定の要件とは、①謝礼金の支払いが契約に基づくものであること②提供を受ける役務の内容が契約書などで明示されていること③謝礼金の額が提供を受けた役務の内容に照らして適切と認められるもの―など。これらの条件をクリアしていれば、交際費課税を回避することが出来る。
 どうせなら、税務上で損金算入に限度額が設けられている交際費ではなく、全額損金算入が可能な「情報提供料」扱いにしたいところ。大当たりすれば相当な金額になる可能性もあるだけに、税務上で有利になる環境は慎重に整えておきたい。


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