Vol.0254
<タックスニュース>
経済財政諮問会議 法人税パラドックス事例報告
政府の経済財政諮問会議が2月20日、官邸で開かれ、法人税の実効税率引き下げについて議論した。法人税率を下げても法人税収が増える「法人税パラドックス」が最近話題になっているが、諮問会議では伊藤元重東大教授ら民間議員4人が「法人税率引き下げと税収について」と題した資料を提出し、税率を引き下げても税収が上昇した国として、英国、ドイツ、韓国の例をあげた。
安倍晋三首相が「法人税パラドックス」という現象が実際に起こるのかどうか、検討を指示したのを受けて、伊藤氏らが報告をまとめた。報告によると、英国は95年の法人税率33%から2013年は23%まで下げたが、税収は4.8%伸び、ドイツは55.1%から30.2%まで税率を下げたが、税収は5.6%伸びた。韓国は2000年に30.8%だった税率を24.2%に下げたが、税収は8.4%伸びた。税収が伸びた要因として、英国の場合は経済成長と制度改正による課税範囲の拡大、ドイツは課税範囲の拡大、韓国では経済成長をあげている。
一方、日本は95年から2011年までに税率を10.4%引き下げ、税収は1.7%減少した。日本の場合はデフレが影響し、成長要因がマイナスであることが税率を下げても税収が伸びた他の国との最大の違いと、報告では分析している。
民間議員は35.64%の法人税率を「アベノミクスの成果による増収の還元等によって、25%の水準に引き下げていくべき」として、代替財源の確保には触れずに減税を求めている。麻生太郎財務相は諮問会議で「(税収が伸びている)米国やフランスでは法人税率を下げていないので、税収の増減にはいろいろな要因があるのではないか」と述べ、「法人税パラドックス」には懐疑的な見方を示した。
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<タックスワンポイント>
生命保険で資金繰り 現金捻出の裏技とは
「すぐに現金がほしい」という会社の中には、やむをえず長年大切に温めてきた生命保険契約を解約するケースがある。保険の種類によっては解約返戻金という現金が捻出できる上、毎月の支払保険料がリストラできるため、資金繰りに窮している会社にとっては手っ取り早い対応策に見えるのだろう。
しかし焦りは禁物。わざわざ保険を解約しなくても、契約者貸し付けや保険金の減額など、同じ保険を使って現金を捻出する方法はほかにもある。とくに保険金の減額は「保険契約の一部解約」と考えられているため、減額した部分にかかる保険積立金は解約返戻金として戻ってくるのだ。
ただし税務上の取り扱いには注意が必要。保険金減額にあたっては、保険契約一部解約による保険積立金の取り崩しを行い、保険金減額による返戻金との差額は、雑損失または雑益として計上することになる。
この場合、保険積立金の取り崩し額をいくらにすればよいか迷うところだが、「保険積立金×減額部分保険金÷減額前保険金」で計算するのが妥当な処理。例えば、会社が契約者および保険金受取人、社長を被保険者とする養老保険で、当初の保険金2千万円を1500万円に減額するケース。減額時の保険積立金を400万円とすると、取り崩し額は100万円(400万円×500万円÷2千万円)となる。減額にともなう返戻金を50万円とした場合、差額の50万円を雑損失として計上することになる。
もしもの備えだけでなく退職金の原資確保や資金調達ツールとしても使える生命保険。長年温めてきた契約を手放す前に活用方法をもう一度検討したい。
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