<タックスニュース>

政府税調 法人税率改革  「引き下げありき」に異論続出

 中長期的な税制の課題を議論する政府税制調査会(首相の諮問機関、会長・中里実東大教授)は12日、法人課税の専門委員会(座長・大田弘子政策研究大学院大教授)を初めて開いた。大田座長は「法人税改革の論点について」というペーパーを提出し、その中で「法人税の税率引き下げが必要である」「単年度・法人税の枠内だけではなく税収中立をはかる」とした。法人税の実効税率引き下げを前提に、税収減部分は所得税などの増税を念頭に補う考えを示した。
 法人税の実効税率は、東日本大震災の復興財源確保のための臨時増税が今年度で廃止され、14年度から35.64%(東京都)に引き下げられる。安倍晋三首相は自身の経済政策「アベノミクス」成功に向けて、法人税率引き下げに前向きであり、経団連などの経済団体も国際競争力確保の観点から、近隣の中国や韓国と同水準の25%程度への税率引き下げを求めている。
 会合では税率引き下げについて、特定の政策目的で本来より税率を下げる「租税特別措置」の見直しなど、課税対象の拡大を前提に賛成する意見が多く出された。一方で、委員である神野直彦東大名誉教授は「方向性が出すぎており、中立的な論点を設定してほしい」と注文をつけた上で、「国民に対して税収が足りないので消費税増税を要請しているのに、一方で税金を引き下げる。この場でのメッセージは説明責任を問われる」として、慎重な議論の進め方を求めた。沼尾波子日大教授も「法人税率引き下げが必要であると明確に出発点でうたうのは抵抗がある」と述べた。終了後、記者会見した大田氏は財政再建を前提に「いかに税率引き下げを実現していくかしっかり議論したい」と述べた。

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<タックスワンポイント>

遺言の作成方法を選ぶ  確実性or簡便性

 遺言をマイナスイメージに捉える人に対して、相続案件のプロである税理士の中には家族を守る「前向きな準備」としてその必要性を説いている人は多い。確実な財産分配のためというが、本文以外の「付言事項」に自分の思いを記載したりビデオレターなどを併用したりすれば、ただの財産の分割を指示した文書以上に自分の思いを伝えることもできる。また最近は相続財産が少ない額ほど揉め事に発展する傾向にあるといい、相続争いは富裕層だけの問題ではなくなりつつあるようだ。
 来年の相続税増税を控えて、遺言についても税務の知識同様に頭に入れておきたい。
 まず遺言の作成方法には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がある。自筆証書遺言は、直筆で手軽に作成できる反面、誤字脱字などの不備があれば法的に無効になってしまうデメリットがある。メリットは極秘に作成できるため、何度でもこっそり書き直せる点だ。次に、一番確実といわれる公正証書遺言は公証人が関与するため不備は発生しない。原本も公証役場に保管されるため、盗難や書き換えの心配もない。難点は手数料や証人への謝礼などのコストの問題だ。秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じく公証役場で作成され、保管もされるが、内容については秘密にできる。安全性はあるが内容自体に不備があれば無効になる点がデメリットだ。この3つの作成方法の中で、不備や盗難などのリスクはあっても手軽な
自筆証書遺言が一番多く利用されているという。
 また法定相続人以外に財産を譲りたい時は、遺言の中で「遺贈」とすることになるが、生前に相手に伝えておいた上で譲りたい場合であれば「死因贈与契約書」も効果的だ。税務に関しては、財産を譲り受けた人間は「贈与税」ではなく「相続税」が課税される。贈与税は、基礎控除は年間110万円であり、税率が50%になるのは1千万円を超えた場合なのに対し、相続税の基礎控除は現行で5千万円+(相続人の人数×1千万円)と贈与税より大きく、税率が50%になるのも相続財産が3億円を超えた場合で、比較をすれば税負担が少ない。
 「遺贈」の良い点は相手の意思に関係なく単独行為ができること。ただし、遺贈の場合、相手が法定相続人だと相続財産に20 %が加算されてしまうことも留意しておきたい。

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