Vol.0264
<タックスニュース>
政府税調 社会福祉法人の介護事業 非課税措置見直しへ
政府税制調査会は5月9日の法人課税検討グループ(大田弘子座長)で、法人税が課されていない社会福祉法人の介護事業について、非課税措置を見直すべきとの見解で一致した。民間事業者との競争条件を公平にするのが目的で、法人実効税率引き下げの財源としても適当との考えからだが、関係者の反発は必至で、実現の道筋は不透明だ。
社会福祉法人や学校法人、宗教法人など公益法人が行う事業は、公益性に鑑みて、民間と競合関係にある34の収益事業を除いて非課税とされている。
介護保険制度が導入された2000年当時、社会福祉施設の運営主体は、社会福祉法人が全体の55%、営利法人(民間事業者)が6%だった。しかし、11年度には社会福祉法人が45%、営利法人は32%に拡大。社会福祉法人が行う介護事業は特例で非課税となっている一方で、営利法人は、同じ介護事業を行いながら25.5%の法人税を負担しなければならず、委員からは「イコールフッティング(対等に競争できる環境整備)は当然だ」「民業圧迫にならないよう課税強化はやむを得ない」など、課税対象とすべきとの意見が多数を占めた。
公益法人の課税強化を巡っては、08年度の税制改正で「収益事業」の一つに「労働者派遣業」を加え、課税ベースを拡大した経緯があるが、社会福祉法人の介護事業を課税対象に加えた場合、対象者の大幅な負担増は確実。自民、公明両党からも慎重論が挙がるのは確実で、年末の税制改正で議題にあがるかは見通せない状況だ。
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<タックスワンポイント>
交際費課税見直しで新たなFAQ ゴルフ接待時の食事は対象外
平成26年度税制改正で交際費の非課税制度が拡充されたことを受け、国税庁は「接待飲食費に関するFAQ(よくある質問への応答集)」をまとめ、ゴルフ接待時の食事は「飲食費」にならないことなどを示した。
中小企業は交際費課税の特例で、年間800万円までの交際費(飲食費や得意先への慶弔費など)を全額損金算入できる。26年度税制改正ではこの特例に加え、飲食費は上限なく50%まで損金算入することも可能になった(選択適用)。そのため、飲食費だけで1600万円を超える場合は、26年度税制改正でスタートした損金算入基準を適用した方が有利になる。
この改正を踏まえた国税庁の「接待飲食費に関するFAQ」は、改正の概要や飲食費の範囲、帳簿書類への記載事項などに言及している。
飲食費は法令上、「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く)」とされている。その範囲となる支出の内容についてFAQで解説。飲食費に該当する支出として、(1)社員などが得意先を接待して飲食するための「飲食代」、(2)テーブルチャージ料やサービス料、(3)飲食のために支払う会場費、(4)得意先の業務の遂行や行事の開催に差し入れる弁当の代金(差し入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)、(5)飲食後にその店で提供されている飲食物を持ち帰る際の「お土産代」――を挙げた。
そして、ゴルフや観劇、旅行の催事の飲食に要する費用、飲食店に得意先を送迎するために支出する送迎費、飲食物の詰め合わせを贈答するための費用は飲食費に該当しないと説明している。
特例の対象ではない「社内飲食費」は、「専ら当該法人の役員もしくは従業員、またはこれらの親族に対する」ものが該当する。そのため、親会社やグループ内の他社の役員の接待時の支出、同業者同士の懇親会や得意先と共同で開催する懇親会の自己負担分などは、社内飲食費にはならないとFAQで解説。
また、自社から親会社に出向している役員に対する接待での支出は、実態で判断するとした。出向者が親会社の役員の立場で出席していれば社内飲食費には該当せず、一方で自社の懇親会の席に自社の役員の立場で出席しているならば社内飲食費になる。
なお、交際費の損金算入額を申告するための別表十五(交際費等の損金算入に関する明細書)も併せて改訂。「接待飲食費の額」と「支出接待飲食費損金算入基準額(接待飲食費の額の合計の2分の1)」の欄が新たに設けられた。
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