<タックスニュース>

タックスヘイブン対策税制が緩和  法人税率「20%未満」に

 租税回避地(タックスヘイブン)を利用した企業の税逃れを防ぐ「タックスヘイブン対策税制」の発動基準が、現在の「20%以下」から2015年度には「20%未満」に緩和される。イギリスの法人税率が今年4月から20%に引き下げられたことに対応して、進出する企業に影響が出ないようにすることが狙いだ。
 タックスヘイブン対策税制は、税率の低い国や地域に実体のない会社をつくる企業に対して、過度な節税を防ぐことを目的とし、1978年に創設された。現在は、法人税率が20%以下の国に実体のない子会社を作ったと判定されると課税される。海外子会社の所得は通常、日本では課税されないが、この税制が適用されると日本での課税対象になり、日本の税率で課税される。
 イギリスが法人税率を21%から20%に引き下げると進出企業はタックスヘイブン対策税制の適用対象になる。特に、保険を売買するイギリスのロイズ市場に参加する企業への影響が大きいと判断し、適用基準を緩和することになった。

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<タックスワンポイント>

研究開発税制が改正  連携強化で変革促す

 3月31日、2015年度税制改正法案の関連法が成立した。これによって法人税改革や17年4月の消費再増税などが確定したことになる。4月1日からさっそく適用されている新税制も多くあり、改正「研究開発税制」もその一つだ。
 研究開発税制は、民間企業の技術研究への投資に税優遇を設けて、技術革新の加速を促すことを目的として1967(昭和42)年に創設。同税制には、①試験研究費が過去3年平均より増加した場合に使える「増加型」、②試験研究費の対売上比率が10%を超えた場合に使える「高水準型」、③試験研究費総額に対して使える「総額型」――の3種類があり、控除額はそれぞれ増加型が「試験研究費の増加額×5~30%の控除率」、高水準型が「売上高の10%を超える部分の試験研究費×控除率」、そして総額型が「試験研究費の総額×8~10%(中小企業は12%)」となっている。また総額型のうち、自社だけではなく他社や大学、民間研究所の技術などを組み合わせて革新的なビジネスモデルや製品を開発する「オープンイノベーション(OI)」型については12%の控除率を認めている。このうち、OI型を含む総額型に、上乗せ措置として増加型か高水準型のうちいずれかを加えて利用できるものだ。
 15年度税制改正では、他社・他機関との連携によって技術開発を行うOI型が大幅に拡充された。政府は、欧米などに比べて日本企業が自前で研究を完結させてしまう傾向が強いことを問題視し、税優遇を強化することでOI型への変革を促す狙いだ。
 改正されたOI型は総額型から独立分離し、これまでの「総額型+増加型または高水準型」にさらに別枠で上乗せできるようになった。控除率もこれまで12%だったところを、企業間の共同研究で20%、大学・特別試験研究機関などの共同・委託研究については30%へと大幅に引き上げ、さらにOI型の研究対象費に、大企業が中小・ベンチャー企業の持つ技術を使用する際などに支払う知的財産権使用料が追加された。大企業が中小企業の知的財産を500万円で利用した場合、これまでは最大50万円の税額控除だったところが、改正後は2倍の100万円が控除されることになるわけだ。
 また、控除上限は、総額型とOI型を別枠化した上で、合わせて30%を維持する。控除しきれなかった額を翌年に繰り越せる繰越控除制度は廃止されている。
OI型の税優遇を大幅に強化することで、武器となる技術を持つ中小企業と、その技術を必要とする大企業との連携が今後増えていくことを政府は期待している

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