<タックスニュース>

空き家の自発的な撤去・改築に減税  国交省が改正要望

 国土交通省は、放置された空き家を所有者が自主的に撤去や改築をしたときに費用の一部を所得税額から控除する制度を、平成28年度税制改正要望に盛りこむ。税優遇を設けることで、全国的に増加している空き家への自発的な対応を促す。
 国交省の案は、所有者が空き家を撤去するか、居住用または賃貸用に改築やリフォームしたときに、かかった費用の1割程度を所得税額から控除するというもの。
 増加する空き家はゴミが放置されて衛生上問題があったり、一部が崩壊して周辺住民に危険を与えたりと全国で社会問題化している。政府は2015年5月に施行した「空き家対策特別措置法」で、空き家への対策に関する自治体の権限を強化し、特に危険のある「特定空き家」については行政代執行による取り壊しを認めるなど対策を進めている。しかし実際には所有者の特定に時間がかかることや事務負担の増加などから、どの程度の効果が出るかは未知数だ。
 また空き家は廃屋であろうと「住宅用地」と見なされ、固定資産税の課税額が更地の6分の1となることから空き家放置の要因になっているとして、27年度税制改正では、倒壊の危険性があるなど自治体が認定した「特定空き家」については、優遇措置の対象から除外する内容を盛り込んだ。
 国交省の要望は、こうした「ムチ」に加えて、税優遇という「アメ」を用意することで自発的な対応を促し、空き家対策をさらに加速させていくことが狙いだ。減税の対象となる空き家の範囲や減税額などは今後検討していくという。
 2013年の総務省の調査によると、全国の住宅に占める空き家の割合は13・5%、約820万戸に及んでいる。

節税、申告、事業承継のお悩みは無料相談実施中の税理士法人早川・平会計までどうぞ

<タックスワンポイント>

地震保険料が来秋値上げへ  加入が必要かチェックを

 地震や津波で壊れた住宅や家財の損害を補償する個人住宅向けの地震保険料が、全国平均で約2~3割程度値上げされそうだ。保険料の値上げは2014年7月に15・5%引き上げられたばかりだが、早ければ16年秋の新規契約分から適用されるとみられており、加入を考えている人は早めに準備を進めた方がいいかもしれない。
 地震保険制度ができたのは、1964年の新潟地震がきっかけだ。当時大蔵大臣だった田中角栄氏は被災者が生活に困る様子をみて、地震保険の必要性を痛感したという。そのため地震保険は公的な要素が強く、政府と損保会社が共同で運営している。巨大地震で広範囲に被害が発生し、保険会社だけでは保険金を支払うことができなければ、支払えない部分を政府が負担する。損保会社の支払いリスクを国がバックアップしているところが他の損害保険と違うところだ。
 地震保険は単独で加入できず、必ず火災保険とセットで加入しなければならないのが特徴。年間の地震保険料は、①居住する建物がどの都道府県にあるのか、②建物がどのような構造でできているのか――の2つで決まる。地震による被害のリスクによって、47都道府県は1等地から3等地の3区分に分類され、保険料は3等地が最も高い。住宅の構造は、大きく分けて非木造と木造に分類される。地震保険金額1000万円で、木造戸建住宅であれば、東京都内なら年間3万2600円だが、福岡県なら1万600円と地域によって差が生じている。マンションの場合は非木造となり、木造戸建住宅よりも耐震性が高いと判断されるため、東京都であれば、年間保険料は2万200円と安くなる。
 注意したいのは、火災保険に入っていても地震保険に入っていなければ補償されないケースがあるということだ。地震で発生した火災は、火災保険の対象外となる。自分の家が火を出さなくても延焼に巻き込まれる可能性は否定できない。隣家と密接している住宅であれば、地震保険に加入しておきたいところだ。
 戸建住宅を建てたばかりで、住宅ローンがかなり残っている人は、地震で全壊になると家を失い、借金だけが残るという事態になりかねない。そういう人はまとまった現金が入る地震保険に加入するべきだ。もしくは被災によって仕事を失うおそれがある経営者なども地震保険は有効になるだろう。
 一方で住宅ローンがほとんど残っていない、もしくはローンも完済し貯金に余裕がある人は地震保険に入る必要性はあまりないかもしれない。またマンションで、耐震基準を満たしており地震による被害が想定しにくい場合も加入しなくてもいいだろう。ただし、管理組合で地震保険に加入していなければ、マンションに損害が出たとき追加で負担する必要に迫られるケースも考えられるので、管理組合が保険に加入しているかどうか、チェックしておきたい。


相続、生前対策、事業承継のご相談は税理士法人早川・平会計までどうぞ

税理士法人早川・平会計