<タックスニュース>

国税庁の通信簿  3項目で「がんばりましょう」

 財務省は11月13日、平成26事務年度の国税庁の実績評価書を公表した。事務年度(7月から翌年6月)ごとに、設定した目標に対して国税庁がどれだけの実績を残したかを5段階で評価するもので、いわば国税庁の「通信簿」と呼べるものだ。
 評価項目は大きく分けて、(1)内国税の適正かつ公平な賦課および徴収、(2)酒類業の健全な発達の促進、(3)税理士業務の適正な運営の確保――の3つがあり、その下に細かい業績目標が設定されている。
 26事務年度では、3つの大目標のうち、「酒類業の健全な発達の促進」と「税理士業務の適正な運営の確保」で、5段階中2番目に高いS評価が下された。酒類業の発達促進については、日本酒の海外輸出促進に向けて国際会議のレセプションで輸出セミナーを開催したことなどが評価された。税理士業務の適正な運営の確保では、税理士会との定期的な協議会を開催していることなどが高い評価の理由としている。
 一方、「進展が大きくない」として5段階中4番目、通信簿で「がんばりましょう」に当たるB評価を与えられたのが、「内国税の適正かつ公平な賦課および徴収」だ。内訳を見てみると、4つ設定された小さい実績目標のうち、「国際化への取組」ではS評価を得たものの、「税務行政の適正な執行」は相当程度の進展があったと認めるA評価にとどまり、残る「納税者サービスの充実」、「適正な調査・徴収などの実施および納税者の権利救済」はともに大きな進展が見られないとしてB評価を下された。
 納税者サービスでは、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」の利用満足度が目標値を下回ったことが低評価の理由の一つとされている。26事務年度では85%という目標値を設定したが、実績値は83・6%にとどまり、3年連続の目標未達成となった。国税庁は電子申告などICTを活用した申告・納税の推進を26事務年度の重点項目に挙げていたが、e―Taxの普及促進でもA評価にとどまるなど、伸び悩みを見せている。
 納税者サービスの分野ではほかに、納税者からの相談への対応についても目標値を達成できなかった。
 26事務年度の国税庁の「通信簿」をまとめると、6つある業績目標のうち、「確申コーナー」「相談業務」「審査請求への対応」がB、残る3つがSだった。最高のS+と最も低いC評価はなかった。

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<タックスワンポイント>

「認定証」提示で負担軽減  医療費が高額すぎて払えない

 健康保険証を提示せずに受診すると、医療費の全額を支払わなければならないのはご承知の通りである。保険証があれば病院や診療所の窓口で支払う負担割合は、70歳未満なら3割となっている。
 だが、保険証提示による3割負担といっても、長期療養や入院、手術となると相当な出費になることもある。そこで患者の負担が極端に増えないようにするために高額療養費制度が設けられている。5つの所得区分に分け、1か月の自己負担額が設定されている。
 しかし、この高額療養制度は還付金が手元に戻るのが申請して約3カ月後で、一時的な負担は大きなものになり、医療費や手術代が払えないなど資金繰りに困る人がたくさんいた。
 そこで2007年4月に導入されたのが「限度額適用認定証」である。70歳未満の人がこの認定証を保険証と合わせて病院などに提示すると、1カ月の窓口での支払いが自己負担限度額までとなる。認定証が導入されたときは入院時の医療費にしか認められていなかったが、12年4月から外来でかかった医療費に関しても使用が認められるようになっている。
 この認定証はその人が高額療養費制度の5つの所得区分のどこにあたるかを記載した証明書になっており、認定証があれば還付金が戻ってくるのを待たなくても、最初から限度額までを支払うだけでいいことになるのだ。病院など医療機関に支払う金額のうち、食事代、保険外選定療養などは対象外になるので注意したい。
 適用されるのは認定証を提示した月からとなるので、入院前もしくは入院日の同月内に手続きをしなければならず、月が変わると前の月の認定は受けられないので注意が必要だ。認定証は自己申請となっており、加入しているそれぞれの保険組合に自ら発行してもらう必要があるので、時間が要することも考慮しておいたほうがいいだろう。

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