<タックスニュース>

中小M&Aの税優遇を拡充  準備金の10割を損金に

後継者難にあえぐ中小企業のM&Aに対する税優遇を拡充する方向で、与党税制調査会が検討を進めている。買収にかかる準備金の全額を損金に算入できるようにする。2023年度税制改正大綱に盛り込む。
自民、公明両党の税制調査会は現在、大綱に盛り込む改正項目の絞り込み作業を進めている。そのなか目玉の一つとなったのが、中小企業のM&Aを促す税制優遇の拡充だ。
現行制度では、将来的なリスクに備えて中小M&Aにかかる株式取得額の70%以下を準備金として積み立てたときに、その金額を損金に算入できるようになっている。24年度大綱ではこれを拡充し、1社目の買収では株式取得額の70%、2社目では90%、3社目以降は100%を損金として算入できるようにする方針だ。従業員2千人以下の中堅企業が中小企業を買収するケースについても、1社目の優遇は設けないものの2社目以降は中小企業と同じ水準とする。
さらに現行制度では、積み立てた準備金は5年後から取り崩し、課税される益金として5年かけて繰り入れる仕組みとなっているところ、10年後からに延ばす内容も盛り込む。

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<タックスワンポイント>

支給額未定の決算賞与は損金化できず  金額を従業員にしっかり伝えるべし

業績が良かったため決算賞与を支給したいと考えた社長さんだが、金額はもう少し見極める時間がほしいので、支給することだけをとりあえず決算日までに社員へ伝えようと考える。その上で、支給額は支給日直前に決定したいと思うのだが、このケースは決算賞与を当期の損金にすることはできない。
決算賞与は通常の賞与とは違い、企業がその年度の業績に応じて支給する臨時の賞与を指す。企業としては頑張ってくれた従業員に賞与として支給することで、次年度以降のモチベーションのアップにつながるし、支給した賞与が損金となれば節税にもなるため、メリットは大きい。
この決算賞与は、必ずしも決算日までに支給していなくても、条件を満たせば損金に算入することができる。その条件とは、その事業年度の終了日までに、賞与の支給額を、同時期に支給を受ける従業員すべてに対してそれぞれに通知していること、通知した金額を、すべての従業員に対して、その事業年度の終了日翌日から1カ月以内に支払っていること、通知した金額を、通知した事業年度に「損金」として処理していること。つまり冒頭の社長さんは1つ目の条件を満たしていないので、当期の損金にすることはできない。
なお税務調査の際には、決算日までに支給額を伝えていたか、決算日から1カ月以内に支給されているかなどの確認をされる可能性が高い。支給額の通知は書面で行い、支給は振り込みにするなど、調査時に慌てないための対策をしておくようにしたい。

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