<タックスニュース>

セーフティ共済  節税目的の利用を制限

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)による節税手法が10月1日から一部封じられる。これまでは解約と再加入を繰り返すことで何度でも掛金を損金算入できたが、今後は解約後に損金算入できなくなる期間が設けられ、節税目的での利用が制限される。
 経営セーフティ共済は中小事業者の連鎖倒産を防ぐための制度で、加入者は取引先が倒産した際に、無担保・無保証人で掛金の最大10倍(上限8千万円)の金額を借りることができる。掛金は月額5千円から20万円までの範囲で選べ、その全額(年間最大240万円)を損金算入できる。
 同共済では、解約時に解約手当金を受け取れる。解約事由や加入期間に応じて支給率は異なり、自己都合の解約でも掛金を12カ月納めていれば総額の8割、40カ月以上であれば全額が返還される。
 こうした仕組を踏まえ、共済制度としてだけではなく、多くの事業者に節税策としても活用されている。積立金が上限に達した時点で共済を解約して再加入すれば、掛金の損金算入を繰り返せるからだ。
 解約時に受け取る手当金は収益扱いとなるが、赤字の会計期間に解約すれば課税を免れることができる。また、役員退職金など大型の経費を計上した際に解約して相殺する方法も考えられる。
 中小企業基盤整備機構によると、2022年度の任意解約3万2570件のうち、解約手当金が100%支給される加入後3年目と4年目の解約件数は計1万775件で全体の約3割を占めたという。解約から再加入までの期間が1年未満のケースが72.1%、1年以上2年未満が11.5%で、2年以内に再加入する割合は8割以上となっている。2024年度の税制改正で、解約後に再加入しても2年が経過するまでは掛金の損金算入を認めないこととした。10月1日から適用される。

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<タックスワンポイント>

生前贈与110万円の落とし穴  計画的な連年贈与で節税が台無し

 「毎年110万円までの贈与」には贈与税がかからないことはよく知られている。しかし毎年110万円を贈与することをあらかじめ約束しておくと、税務署から計画的な「連年贈与」と判断されて贈与税を課されることがあるので注意したい。連年贈与とは税法上で定義されたものではなく、税界での通称で、何年も続いて行われる贈与を指す。
 そもそも贈与税は、1人が1月1日から1231日までに受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかる。これが「110万円までは非課税」といわれる理由だ。仮に子どもが2人として、年間110万円ずつ10年間にわたって贈与できれば、110万円×2人×;10年=2200万円となり、それぞれの子どもに1100万ずつを税負担なく贈与できる。
 だが、これが毎年110万円を10年間ではなく1100万円を10分割して年に110万円ずつ受けていたという見方をされる贈与だと、1100万円を受け取る権利を最初の時点で取得していたとして課税されてしまう可能性がある。結果として同じ金額になったとしても、毎年110万円ずつなら見逃しても、贈与するつもり1100万円をわざわざ分割しているのは課税逃れの意思があると判断されるわけだ。

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