Vol.0589
<タックスニュース>
案里元議員「5千万円もらい逃げ」 当選無効で歳費返還か
自民党の下村博文政調会長は5月19日、歳費法の改正を検討するプロジェクトチーム(PT)を設置すると記者会見で表明した。公職選挙法違反で有罪となった河井案里元参院議員に歳費が支払われ続けていたことに批判が集中したことを受け、有罪判決などで失職した国会議員の歳費を返納できるよう法改正を検討するという。しかし、憲法や公職選挙法との整合性の観点から慎重に議論すべきだとの意見も上がっており、今国会での成立は見通せない。
公職選挙法の買収の罪で有罪が確定した案里氏については、在職中に受け取った歳費の返還を求める声が国民から噴出している。案里氏は当選無効になったにもかかわらず、当選から辞職するまでに給与に当たる月104万円の「歳費」、ボーナスに当たる約310万円の「期末手当」など累計4942万円あまりを受け取ったとみられている。4月には広島県の住民らが「民主主義の根幹を揺るがす選挙法違反を犯して当選無効になったにもかかわらず歳費を受け取るのは不当利得だ」などと主張し、受け取った歳費を国に返還するよう求める訴えを東京地裁に提起した。ただ、現行の歳費法では国会議員は退職する日まで歳費を受けるとされ、返納に関する規定はない。
自民党は近く作業チームを設けて具体的な検討をはじめる方針だ。公明党は今国会で法改正を行うべきだとして、選挙違反などの疑いで逮捕された場合、歳費の支払いを一時的に停止することや、有罪が確定して当選無効になった場合には、当選時まで遡って返納できるようにすることなどの改正を検討していくという。
しかし、法案の取りまとめには時間がかかる見通しで、今国会での成立は難しいとみられている。公明党の石井啓一幹事長が5月7日の記者会見で「自主返納も公選法が禁じる『寄付行為』に該当してしまう問題がある」と指摘するなど、歳費について規定した憲法や、公選法などとの整合性の観点から慎重に議論すべきだという主張があるためだ。
歳費法改正を検討する自民党のPTの座長は柴山昌彦幹事長代理が務めるという。なお、柴山氏は2016年、バスツアーを通じて有権者へ利益供与したとして公選法違反の疑惑が持ち上がった過去がある。
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<タックスワンポイント>
家政婦さんへの介護依頼は医療控除可 看護師などに「準ずる人」だが労働者にはあたらず
家族の誰かが入院することになったとき、夫婦共働きの家庭であれば24時間の付き添いが難しいので、病院での世話のために家政婦さんを雇って介護を依頼することがある。このときに家政婦に支払った費用は、医療費控除の対象になるのか。
税法では、医療費控除の対象となる医療費とは、医師による診療・治療の対価のほかに、「保健師、看護師、准看護師による療養上の世話の対価」として支払った費用も含まれている。ここでいう保健師、看護師、准看護師とは保健師助産師看護師法で規定されるものだが、さらに「これに準ずる人」も加えられていて、「療養上の世話を受けるために特に依頼したもの」から受ける世話への対価も含まれている。つまり、療養上の世話のため家政婦さんに支払った費用は、全額が医療費控除の対象となる。また家政婦紹介所に支払う紹介手数料も、控除の対象となるのもありがたい話だ。
ちなみに家政婦(家事使用人)は、れっきとした労働者であるにもかかわらず、なぜか経営者の同居親族と同様に、労働基準法の適用外となっいる。つまり雇用される「労働者」ではないため、労災や雇用保険の被保険者になれないということだ。これには、かつて「女中」と呼ばれた人々のほとんどが住み込みで働き家族扱いされていたという事情もあるようだが、今となっては時代遅れとの指摘もある。昨年3月には、週6日働いて急性心筋梗塞のため亡くなった訪問介護ヘルパーの女性の遺族が、国を相手に労災認定を求めて裁判を起こすという例もあった。
なお家政婦紹介所から紹介してもらった家政婦については、その紹介所に雇用される労働者として扱われている。
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