Vol.0592
<タックスニュース>
税務調査のDX化 データ分析で脱税予備軍を抽出
国税庁は6月11日、税務行政の今後のデジタル化についての見通しをまとめた文書を公表した。今回発表された「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―」は、2017年に公表した「税務行政の将来像」のアップデート版に当たるものだ。最新のテクノロジーとマイナンバー制度などを高度に組み合わせて、当局が「高リスク対象」と呼ぶ“脱税予備軍”を見つけ出すという。
それによれば、「課税・徴収の効率化・高度化」については、全国民に割り振られたマイナンバー制度や法人番号を鍵として個人や企業の所得を紐付け、当局が保有する様々なデータをコンピューターにかけて深刻内容の誤りや齟齬を把握するとしている。例えば、勤務先が提出した源泉徴収票と、本人が行った確定申告の内容に違いがあるときには、マイナンバーによってその両者を照合することで差が発見できるという。
さらに最新のIT技術を税務調査に活用する。本人からの申告内容や過去の調査事績、資料といった当局が保有する情報、さらに民間情報機関や外国政府から入手した膨大な個々のデータをコンピューターに入力し、分析にかける。ロジスティック回帰分析、決定木分析、クラスター分析、ネットワーク分析など様々な手法を用いて、ばらばらの状態の情報から隠れた関係を見つけ、脱税や所得隠しをしている可能性が高い納税者を発見する。例えば表向きにはつながりのない国内A社と国外B社の情報を分析することで、両者の代表A氏とB氏がそれぞれ無関係だとしても、両方に関与する別の納税者C氏を見つけるといったことができるようになるという。当局はこうした納税者を「高リスク対象」と呼び、専門のデータ活用担当部署で抽出し、効率的な税務調査につなげる狙いだ。
そのほか、これまで書面で行っていた銀行への預貯金照会や資料要請をオンライン化することや、昨年から始めた大企業を対象とする「リモート税務調査」の拡大などが盛り込まれた。
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<タックスワンポイント>
クーリングオフができない保険契約とは 保険会社に出向いていたら不可
保険営業の職員から訪問勧誘を受け、相手の話に納得して、その場で保険の契約書にハンコを押した。しかし家に帰ってよくよく考えてみると、保険料の支払いの負担が自分にはあまりにも重く、交わした契約をなかったことにしたいと考えたとする。
こうした場合、保険の申込日から8日以内であれば、保険会社に所定の書面を郵送することで契約を一方的に解除する「クーリングオフ」を適用できる。「クーリングオフ」とは直訳すると「頭を冷やす」という意味で、押し売りなどでモノを買ってしまった消費者を救済する制度だ。その対象には保険も含まれている。
ただし、クーリングオフを適用できるのは、消費者が営業職員の訪問販売や訪問勧誘を受けて、購入の意思が明確ではないまま不要なものを買ってしまったときに限られる。そのため、保険会社の営業所に出向いて契約したケースでは対象とならない。同様に、保険についての話し合いの場を自ら指定していたケースや、インターネットで申し込んだ場合でも、申込日から8日以内であってもクーリングオフできない。
もっとも、生命保険に関するクーリングオフの期限は申込日もしくはクーリングオフの書面受領日から8日以内というのが法律上の規定だが、保険会社や保険の種類、申込方法によっては、10日や2週間などに延長されていることもある。もしクーリングオフ期限を過ぎていても、あきらめずに問い合わせてみるとよいだろう。
なお訪問勧誘ではなく、自ら保険会社の営業所に行って契約書にハンコを押した場合であっても、保険会社の審査が終了する前なら契約を取りやめにできる可能性がある。契約は保険会社の審査が通るまで法律上は契約が成立していないためだ。
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