<タックスニュース>

“裏金”を支払った  税金はこちら持ち

 事業関係者への賄賂、ライバル会社に関する情報提供者への謝礼など、ビジネスシーンでは「裏金」が動くケースが少なくない。
 相手先を明らかにできない支出であっても、会社の口座から出ている以上は何らかの経理処理が必要になるわけだが、税務上では「使途秘匿金」と位置づけて一定のペナルティを設けている。
 法人の経費として損金に算入できないだけでなく、その裏金の支出額の40%相当額が通常の法人税のほかに課税されてしまう。本来なら裏金を受けとった側に課すべき税金を、支出した会社側に負担してもらうというわけだ。ペナルティを払うことで相手先を追及されないのであれば、会社としては甘んじて受け入れるだろう。
 ちなみに「使途秘匿金」の定義は、法人が支出した金銭(金銭以外の資産の引き渡しを含む)で、その支出した相手先や目的・内容が明らかにされていないもの。
 相手先を明らかにできないような支出は違法な支出につながりやすく、公正な取引を阻害する恐れがあるということで、極力抑制する必要があるという政策的見地からペナルティ課税が設けられた。このため赤字法人であってもペナルティの課税対象となる。
 ただし、相手方の氏名などを明らかにしないことに相当の理由がある場合は、使途秘匿金には含まれない。ここでいう「相当の理由」とは、例えば、不特定多数の者との取引で、その取引の性格上、相手方の住所・氏名が分からないケース。また、小口の金品の贈与あるいは不特定多数の顧客を相手とする事業者への支払のように、相手方の住所・氏名まで帳簿書類に記載しないことが通例となっている支出なども含まれる。

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<タックスワンポイント>

税制改正要望出揃う  消費増税時の軽減税率と自動車税が2大テーマに

 2014年度の税制改正に向けた各省の税制要望が出揃った。今年は政府の成長戦略に合わせる形で、投資減税の部分については与党税制調査会の税制改正議論がすでにスタートしている。年末にかけては、自動車税や消費増税時の軽減税率が中心テーマになるものと見られるが、いずれも消費増税を前提にした議論であり、安倍晋三首相が10月上旬に最終判断するという消費増税の決定いかんでは、根底が覆る可能性もある。
 地方税である自動車取得税は13年度の与党税制改正大綱で、消費税が10%に引き上げられた段階での廃止が盛り込まれた。総務省は自動車取得税廃止に伴う代替財源として、同じ地方税で自動車所有者が毎年納める自動車税や軽自動車税の増税を検討している。これに対して、軽自動車の生産販売がメーンのスズキの鈴木修会長は「軽自動車は所得が比較的少ない人が生活や商売のために利用している。軽自動車の部品を生産している中小企業にも影響が及ぶ」として、反発している。
 経済産業省は、国際水準より高いとして、法人税の実効税率の引き下げを要望している。法人税は12年度から引き下げられ35・64%になったが、東日本大震災の復興財源のために臨時増税され来年度までは約38%。法人税は約3割の企業しか納めていないことから、財務省は雇用や設備投資が伸びるという減税効果には懐疑的だ。また、法人税率1%引き下げで4000億円程度の税収減になることから、実現性は低いとみられる。
 消費税10%への引き上げの際には食料品などの税率を低く抑える「軽減税率」導入について、年末の与党税調の議論で結論を得るとしているが、10%への引き上げは15年10月の予定なので、議論が先延ばしになる可能性もある。

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