Vol.0072号
<タックスニュース>
税制改革を主導するのは誰だ!? 菅・峰崎・小沢??3者鼎立
政府税制調査会の専門家委員会(委員長=神野直彦東大名誉教授)は4月20日、税調会長の菅直人副総理兼財務相から指示があった1980年代以降の内外の税制改革にかかる総括について、ひと通りの議論を終えた。
峰崎直樹副財務相は「5月の連休明けには、専門家委員会での議論の論点の方向性を出さないといけない」と述べているが、ここに来て「菅大臣と峰崎副大臣の考え方は違うのではないか」(財務省幹部)との観測が広がり始めた。専門家委員会での論点の方向性を打ち出せば、必然的に将来の消費税や所得税などの増税に触れざるを得ない。ここで影を落としているのが、小沢一郎幹事長の存在だ。
前原誠司国土交通相がいったんは公表した高速道路の新しい上限料金制度案に対して、小沢幹事長は「一部値上がりしているのはおかしい」と指摘して、新料金制度案を事実上、棚ざらしにしてしまった。この事件を目の当たりにした菅財務相が、7月の参院選を前にして国民の負担増に過敏になっている小沢幹事長に刺激を与えたくないのでは、という見立てだ。菅財務相は「増税と経済成長は両立する」とも言う。「ポスト鳩山」と目される菅財務相が、小沢幹事長の前でどのように振る舞うかを財務官僚は注目している。
<タックスワンポイント>
申告以外にも使えるe-Tax 更正の請求から税理士試験まで
利用者が順調に伸びている国税電子申告・納税システム「e-Tax」。e-Taxといえば、「申告で使う」という印象が強いが、ほかにも多くの場面で利用できる。たとえば、納める税金を誤って多く申告してしまったとき、訂正を求めるためにする「更正の請求」もe-Taxでできる。
次に「異議申立」の手続き。これは税務署長などによる更正や決定といった課税処分、差し押さえ・滞納処分などに不服があるときにするもの。原則、「異議申立」をしてこれに対する決定(異議決定)があった後、それでもなお不服という場合、国税不服審判所長に対して「審査請求」ができる。
e-Taxは、「異議申立書」から「審査請求書」の提出まで対応している。相続税や贈与税の「延納」の申請もe-Taxはカバーする。延納は、相続税または贈与税の税額が10万円を超え、かつ金銭納付が困難という場合に、担保を提供することで、分割して納めることができるという制度。相続税だけに認められた、税金をほかの相続財産で納める「物納」の申請もe-Taxで可能だ。
また、税理士試験関係手続きもe-Taxで行える。税理士試験受験資格認定申請から、税理士試験の受験願書の提出、試験科目の免除が可能な人が行う「税理士試験免除申請」もe-TaxでOK。できることが意外と多いe-Taxだが、普段申告でしか使っていなかったという場合、e-Taxに必要な電子証明書の有効期限には注意したい。有効期限が切れていたら、住基カードであれば役所などで更新手続きをしておこう。