Vol.0100号
<タックスニュース>
酒税めぐる不毛なイタチゴッコ 「第3のビール」に増税論
ビールや発泡酒に比べて割安な「第3のビール」への増税論が、政府・民主党内に広がっている。国内大手流通が韓国のビール会社に製造を委託したプライベートブランド(PB)製品を1缶88円前後で販売しており、「水やコーヒーよりアルコールが安いのはいかがなものか」(政府税調関係者)との考えが底流にある。ただ、ビール会社からの反発が強く、平成23年度税制改正に盛り込まれるかは不透明だ。
第3のビールは、発泡酒に別のアルコールを加えた「リキュール系」と、麦芽を使わない「その他の醸造酒」の2種類。酒税が1缶(350ミリリットル)当たり28円で、ビールの77円、発泡酒の47円に比べて大幅に安い。国内ビール会社のブランド商品の販売価格は1缶120円前後で、デフレを象徴するアルコール飲料として定着した。
党内には「韓国製PBの影響を受けて、生産が落ち込む国内ビール会社を救済する」という構図が描かれていたが、民主党税制改正プロジェクトチームのヒアリングに対して、ビール各社は「脅威は感じるが影響は少ない」「5年後、10年後には脅威になると懸念している」などと足元の影響を否定する発言が相次いだ。
むしろ議員から「発泡酒に別のアルコールを少し加えただけで、第3のビールと見なされ、税額が低くなるのはおかしい」との問題が提起され、ビール会社が追及される一幕も。政府税調はアルコール度数に応じた課税の導入が規定路線だが、「ビール業界は第3のビールの研究開発に相当な投資をしており、拙速な制度改正は影響が大きい」(民主党幹部)など、慎重論も根強い。
<タックスワンポイント>
得意先に歳暮ギフト 「交際費5千円基準」は適用外
今年も全国各地でお歳暮商戦が始まった。大手百貨店の中には、インターネット上に「お歳暮専用ギフトショップ」を開設しているところも。個人・法人を問わず、手軽にお歳暮を届けることができる。
お歳暮は、日ごろお世話になっている取引先への贈答であり、その費用は「交際費」となる。お歳暮商品にはビールや食料品の詰め合わせが多くあることから、交際費になるからといって交際費の「5千円基準」をお歳暮費用に適用しようとするのはNGだ。
5千円基準は、5千円以内の飲食費について交際費から除外するというルール。しかし、お歳暮の「飲食物の詰め合わせを贈った」という行為は、「飲食費」には当たらない。従って、お歳暮に5千円基準を持ち出すことはできない。
それでも交際費まわりは税務調査のチェックポイントのひとつ。お歳暮を贈ったら、送り先と商品の内容および価格を一覧にした「お歳暮リスト」を作っておくのが安全だ。お歳暮シーズンが過ぎると、来年の社名入りカレンダーを得意先などに配布する企業が出てくる。
お歳暮と違って、こうしたカレンダー、手帳、手ぬぐいなどの贈与は広告宣伝の目的があるため、交際費ではなく「広告宣伝費」に該当し、損金に算入できる。
ただし、このカレンダー配布にあわせた”手みやげ”持参には要注意だ。いくらカレンダーは広告宣伝費でも、同時持参の菓子折りなどは贈答として交際費に該当する。